互角勝負
「歯、立てないでくださいよ」
前髪を軽く掴み、隠れた表情を見ようとしながらバーナビーは息を詰めて笑った。
毛根が引っ張られ、じりっと痛むのを感じた虎徹は濡れた唇から紅くてかる舌を覗かせる。
「お前次第だな」
「それも貴方次第ですよ、おじさん」
「言ってろ」
手のひらに納めた猛る雄を軽くかきあげ、ぐちゅりと音を立てた先端に舌を這わせた。
口内に生臭い慣れない先走りの味が広がっていく。
ひくり、と揺れて手の中で脈打つとバーナビーの息が詰まるのを耳にして、思わず笑みを浮かべていた。
「何得意気な顔してるんですか」
「余裕ないお前さんなんて、こういうときしか見れねぇだろ?」
「余裕がない? それは貴方もじゃないですか?」
前髪を離し、指先をこめかみから滑らせ耳の輪郭をなぞった。
「っ!」
「これだけで感じる貴方のほうこそ、余裕ないじゃないですか」
負けじと虎徹は顔を振りその手から逃げると口を開け、雄の先端を咥えこんだ。
「くっ」
突然のことに驚きながらもやり過ごすと、頭をぐっと掴んだ。
「ん!」
「歯立てたら容赦しませんから」
汗を滴らせ余裕皆無な表情でバーナビーは虎徹を見下ろした。うっすら笑みを浮かべる口元と、蔑むようでありながら熱を孕んだ瞳がギラギラと光っていた。
観念したように虎徹は歯を立てないように、舌をぐるりと動かした。根元を一周。輪郭を一本一本描くように舌を這わせる。
前に初めて要求されたとき。飴を舐めるようにと言われたのに対し「すぐ噛むよ俺」と答えた虎徹を嫌な目でバーナビーは見た。
それから紆余曲折の末に技術を磨いた。否、磨かされた。
歯を少しでもたてると、そのあと容赦ない仕置きがまっている。となると否が応でも上達するというものだ。
「本当やっと巧くなりましたね」
「ふるふぁい」
「だから噛まないで下さいよ」
言いながら耳元を指で撫でた。
「噛んだりしたら、貴方を満足させることが出来なくなりますからね」
なにか言いたげにバーナビーを見上げながら虎徹は舌を動かした。
6話次回予告を見て妄想が爆発して書きなぐったのですごく中途半端。
毎回次回予告がネタの宝庫過ぎて涙がでそうです。